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サティの「パラード」

サティの「パラード」

2016年、14分12秒 劇場初公開
音楽・文章:エリック・サティ
演奏:ウィレム・ブロイカー楽団 、編曲:ウィレム・ブロイカー
監督・アニメーション:山村浩二

フランスの作曲家エリック・サティが50歳のときに作曲に着手した「パラード」は、詩人アポリネールがはじめて「シュルレアリズム」という言葉で紹介したバレエ音楽。翌1917年に初演されたバレエは、サーカステントの前で3人のマネージャーと4人の演者が客寄せをするという設定が柱となって演じられた。100年前のこの舞台を、サティのエッセイからのテキストと共に、ウィレム・ブロイカー楽団の演奏にあわせ、超現実的バレエ映像としてアニメーションでの再現を試みた。
オリジナルのバレエに登場する人物たちの他、このバレエを創作したジャン・コクトー、パブロ・ピカソ、エリック・サティも登場し、サティ作品の風変わりなタイトルや、サティが音楽を担当し出演もしたルネ・クレール監督の映画「幕間」、サティと交流の深かったマン・レイ、ピカビアなどの美術からの引用も散りばめられている。
広島国際アニメーションフェスティバル、ウィーン・インディペンデント映画祭ほか12の国際映画祭で受賞、アヌシー国際アニメーション映画祭、ブルックリン国際映画祭ほか81の映画祭で公式セレクションされた。

公式サイト

Parade de Satie


オリジナルサウンドトラック収録CD
"With Strings Attached" 
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 Willem Breuker Kollektief
 BVHAAST、 1991/2003 Erik Satie "Parade"全曲収録
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 山村浩二・著、六耀社
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ユリイカ 総特集◎エリック・サティの世界
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 2016年1月臨時増刊号 青土社、2015年11月27日発行
 サティの「パラード」のカラー口絵収録。
 インタビュー【イメージを求めて】イノセントそして革新的
 アニメーション『パラード』をめぐって/山村浩二×小沼純一
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 詩人、映画監督のジャン・コクトー、画家ピカソ、音楽家エリック・サティがバレエ・リュスのために創作した舞台「パラード」は、1917年にパリで発表された当時、サーカスや大道芸、映画など世俗的な演芸をバレエの舞台に乗せたことでスキャンダルを巻き起こした。サティの音楽は、まだフランスに入ったばかりのラグタイムジャズやシャンソンのメロディーなどをコラージュして、現実の騒音、タイプライターやくじ引きの装置、ピストルの音などを実際にならすなど斬新なものだった。
 サウンドトラックはオランダのサックス奏者で作曲のウィレム・ブロイカーの編曲、演奏による「パラード」を、91年に録音された音源をそのまま何も足さず使用している。ウィレム・ブロイカーはジャズ関係者には知る人ぞ知る音楽家で、2010年に亡くなるまで、10人編成のオーケストラ、ウィレム・ブロイカー楽団とともに西ヨーロッパ全域、ロシア、オーストラリア、インド、中国、日本、アメリカとカナダでもツアーし、音楽教育分野のイノベーターでもあり世代と国境を越えて音楽界に影響を与えたアーティストだ。
 もともとジャズの要素と世俗的な内容を盛り込んだ「パラード」に、ブロイカーのライブ感溢れる野生的な演奏はピッタリで、その演奏に魅了された山村浩二が、100年前のサティの舞台音楽をアニメーションで再現する構想を得た。

 エリック・サティは、一見丁寧すぎる温厚な振る舞いとは逆に、皮肉屋で、『官僚的なソナチネ』『犬のためのぶよぶよとした前奏曲』『梨の形をした3つの小品』『胎児の干物』のように、作品に奇妙な題名をつけたことでも知られている。音楽作品の楽譜にも奇妙なことばを書き込んだり、新聞などで皮肉たっぷりのエッセイも書いていた。「不思議なこと:ばかな評論家ほどほど頭がいい…これはさっぱり訳がわからない…明らかに…」「人間の最大の敵とは何か?人間。」「私が若かった頃ずっとこう聞かされていた:50歳にもなれば、分かるよと。私は50歳だ。なにも分かっていない。」こういったサティの軽妙でいて深淵なテキストを本編に散りばめ、バレエの進行と並行して、サティのユニークな人柄も垣間見せながら、祝祭的な雰囲気の中、創作する意味も問いかける作品となったのが、山村浩二による”サティの「パラード」“だ。